がれき処理の利権と除染利権と帰還推進はセットになっている!

 

撮影 辻 芳徳さん

緊急学習会「がれき焼却・除染はこれでよいのか」報告

 

    10月1日からの、多摩川衛生組合の宮城県女川町のがれき焼却開始を目前にして、異議を申し立てている市民を中心に、9月29日(土)、国立市のさくらホールで「がれき処理・除染はこれでよいのか」学習会が開かれました。

    急ごしらえの緊急集会でしたが、子供を持つ国立市内の女性を中心に、約60名が参加、関心の高さを感じました。熊本一規さん(明治学院大学国際学部教授)、辻芳徳さん(元東京都清掃局職員)を講師に、国・環境省が、震災がれきの「広域処理」を進める真相と問題点を学びました。

     熊本先生の話は、全国で問題になっている震災がれきの焼却は、単に放射能の汚染の拡散だけにとどまらず、福島県の除染事業の問題でもあると指摘します。

    『除染はチェルノブイリの例にならえば、ほとんど効果がない。しかしチェルノブイリは5mm㏜/年以上は強制避難、1〜5mm㏜/年で「避難の権利」を持ち、補償を受けられる。いっぽう国は、20mm㏜/年以下になるまで除染するとして、大手ゼネコン(原発も作った!)に発注している。20mm㏜/年を下回ると帰還推進となり、補償もされない。つまり帰還推進が、除染利権を支えている。

    除染して住民を帰還させるという政策をとる限り、がれきの行き場もなく、全国で広域処理となり、ここでもゼネコン、輸送業者の利権が発生していることはご存じのとおり。放射能は集中・隔離して、厳重保管するのが原則。場所は東電の福島第一原発中心しかない。原発周辺の住民が帰還を拒否し、国が尊厳ある暮らしを保障し、新天地をバックアップすることが、利権を崩す第一歩である。』という、指摘されるまでつながらないのですが、大企業と政府との癒着構造という、根の深い問題が露わになるお話でした。

 放射能を吸い上げた農水産物を汚染物として拒否するのでなく、「大地や海を浄化してくれる」ものと見方を変え、バイオエネルギーとして使うことで農漁民の救済につなげるような発想を進めていけるかどうかが、本当の復興のカギであるとの話も聞けました。

 この日(9月29日)昼のNHKニュースで、宮城県内の震災がれきのうち「まだ行き場が決まっていないものは県内で処理する方針を立てた」と報道があったのですが、その後大きな報道はなされませんでした。原発推進、がれき利権、除染利権と報道管制は一体であると実感しました。

    10月1日の搬入は台風で延期になったものの、2日から多摩川衛生組合で搬入が早朝に行なわれました。この集会にも参加した、がれき焼却に反対している市民が様子をブログで知らせています(http://ameblo.jp/lunar527/entry-11369201858.html)。集会参加者の有志でも「緊急申し入れ書」を届けることになり、私も署名し、申し入れ行動に参加しました。

     依然として変わらないこの国のありように絶望しても始まりません、気が付いた住民が体を張るしか変えられないのです、と熊本先生は断言します。深い言葉でした。