ごみからできた「溶融スラグ」が、山形県米沢市まで運ばれる!

  私たち府中市民の出すごみは、稲城市の多摩川衛生組合で焼却処理されています。稲城市、国立市、狛江市と府中市の4市から運ばれているのですが、府中市のごみが全体の半分くらいを占めています。
  燃やした後の灰(焼却灰)は、さらに高温で溶かしたあと冷却固化する施設(=灰溶融炉)に投入され、「溶融スラグ」が作られています。スラグは黒い砂状の物質で、水道管の埋め戻し材や道路の路盤材などの材料となり、公共工事に使えるので「廃棄物」ではなくなり、最終処分場がいらなくなる技術として、灰溶融炉は全国に作られました。「ごみ」が「資源」に生まれ変わり「資源循環社会」となるという国の触れ込みでした。
  ところが去る3月28日の発行の多摩川衛生組合のニュースで、スラグの行き場がなく、施設内に山積みになっていることが明らかになりました。市の担当者の説明によれば、スラグはごみの搬入量に応じて各市に引き取り義務があるが、いま府中市分2700tあまりが、経済状況の悪化で公共工事などの需要が減り、早急な対策が必要な状態であるということでした。
  そこで市としては、窮余の策として、3月中までに1500t分を、トン当たり200円の「リサイクル料」をもらうものの、トン当たり18000円の「運搬料」を払って、山形県米沢市の管理型処分場に【覆土材】として持ち込むことを決めたというのです。
  「資源循環社会」を作るという国の政策に従い、高価な炉の建設費とスラグ生産費(1t当たり1万円)をかけて「資源」にしたのに、さらに税金をかけて最終処分場に持ち込むわけです。費用を払うのですから「資源」ではなく「廃棄物」と同じであり、二重の税金の投入です。
  しかも、最上川源流地域にまで【私たちのごみ】が運ばれていきます。管理型処分場というものの、永久監視は制度上されません。環境汚染のつけを将来にわたり、地方に押し付けたことになります。
  今後もスラグは作られ続けます。国の進める「資源循環」政策では根本的な解決にはならないと、私たち自身もとらえ返すべきです。