府中市の「財政計画」を探る②

歳入計画〜補助金、基金、市債で埋めた、市税収入の落ち込み

 府中市は、2008年から2013年まで6年間の「財政計画」を経済状況の悪化で見直さざるを得なくなり、計画を変更したことが昨年11月に議会に報告されたことを、前回述べました。計画策定からおよそ2年たっています。
 そこで、すでに過ぎた2年間の実際の額と、見直した財政計画での今後の4年間の予定額を一般質問しました。すると市税収入は、08年と09年は490億9千万ですが、今後4年間は1年当たり472億4千万円と見積もられていることがわかりました。今後さらなる市税の落ち込みが予想されているわけです。当初の計画では市税収入は1年間で510億の見込みでしたから、37億円も減収です。

 同様に、歳入について、財源別に、市の回答を列挙します。

   08、09年の1年当たりの額  10〜13年の1年当たり見込み額

市税収入     490億9千万    472億4千万
国と都の補助金 153億3千万    189億4千万
基金取り崩し額  29億3千万     53億3千万
市債の発行額   32億         64億8千万
その他一般財源 124億4千万    126億9千万
総額        829億9千万    906億8千万

 これで分かるのは、市税収入が減っているのに、国や都からの補助金や、基金の取り崩しと市債を大幅に増やし、財政規模は今より増額になっているということです。
 しかし、国や都からの補助金は使途が限定されています。しかも地方分権といわれる時に、どんな施策に増額を当てにしているかは、市民に説明する必要があるでしょう。
 基金は「公共施設整備基金」や「都市整備基金」など、使途を条例で定めて貯金してきたものです。市債は学校や公共施設建設など、年度を越えて将来の市民にも利益が及ぶ施策については、将来世代にも公平に負担してもらうという考えで起こす借金です。3年後から元本を必ず返さなくてはいけません(ちなみに今の市債残高は400億ほどです)。

 今回の歳入における計画変更は、家庭で言えば、屋台骨の収入は減ることが分かっているのに支出を減らせず、貯金の取り崩しと借金でまかなった形です。しかしそれは、後年度に負担をまわすことになっていますから、市が支出の予定をきちんと教えてくれなくては、私たちはその是非を判断できません。

 次回は、すこしだけわかってきた、その支出の予定と問題点です。