わたしが関っている「就学時健診を考える府中市民の会」では、11月8日(日)、埼玉県東松山市の「東松山総合福祉エリア」施設長である曽根直樹さんを講師に招き、「『福祉のまち』東松山市に学ぶ、『ともに生きる』教育・福祉のとりくみ」と題した講演会を行ないました。
東松山市では07年に「就学支援委員会」を廃止しています。教育委員会が子どもの就学先の最終決定を下す仕組みを改め、学校がバリアフリーや介助員の配置など、障害児受け入れの条件を整えることで、保護者や本人の希望に沿った進学を保障しています。
その施策の理論的推進者である曽根さんは、もともと障害者の入所施設(コロニー)の職員でした。そこで、障害者は社会から隔離されている現状や法制度に疑問を持ちます。憲法では社会権を認める福祉国家であり、法律で障害者の「自立と共生」を謳っても、障害者が見えなくされている限り、見えないところにいる人のための施策は後回しになるのは当然である、と言います。
障害者にかけるお金の少なさを、高齢者の場合と統計で示され、これには愕然としました。日本の福祉の貧しさを示す統計は枚挙にいとまがないと、実感しました。
曽根さんは、障害者、高齢者、子ども、と分けずに制度の枠を超えて、だれもが支援を必要とするときに必要な支援を行うこと(支援の一元化)が、それぞれを「少数者」として排除しないことであり、そのような地域を作るには、学校教育の期間だけ分けられる教育制度は「共生」の理念に反すると述べます。
そして、通園施設や特別支援学校(養護学校)や通所施設がない自治体はあっても、学校や保育園のないところはないのだから、どの町でも条件を整えることでインクリュージョン教育はできるはず、それを学校教育が阻むのは「障害のある子は来てもらっては困る」という社会通念=差別意識のせいである、という切り口に、問題の根深さを感じました。