市内の道路の維持・管理に民間企業が参入?「府中市インフラマネジメント計画」で示された「経費削減」の本質…
府中市は、今年13年3月に「府中市インフラマネジメント計画」を公表しました。
そこでは、市が管理する道路の、清掃・ごみ回収、パトロール、維持・保守、舗装補修工事など、現在は入札などで別々に委託している業務を、まとめて1企業に「包括委託」する計画を立てていました。
こんな前例のない事業に問題はないのか、市は責任をどこまで取れるのかと考え、6月議会で一般質問しました。
今年度中に、「一定地域」を決めて先行的に包括委託あるいは指定管理者導入を検討する方針で進めているが、具体的なことは「まだ決まっていない」という見解でした。
市民に身近なインフラである道路の安全な管理、監視は行政の大事な役割です。いま、市が定期的に巡回したり、計画的に舗装補修を行なっています。それをこの計画では今後、民間企業に包括委託、または指定管理者制度を導入するとしています。
しかし、国交省は「行政判断を伴う事務(災害対応、計画策定及び工事発注等)及び行政権の行使を伴う事務(占用許可、監督処分)以外の事務について指定管理者に委託可能」という見解を出しています。なので、どの部分の業務に市が責任を持つのか、事務をどう分担するかについては、もっと明らかにしてから計画を実行すべきと質問しましたが、今年どこか場所を決めて先行的に試行する中で、コンサルタント会社と分担範囲を決めていくという答弁でした。しかしまだ「先行実施」場所も決めていないといいます。
一番大事なことは、事故が起きた時の責任(瑕疵責任)はどちらにあるかです。市は相手が決まったらそこは契約で定める、と言いますが、民間企業に有利なようでは市民の利益にはなりません。
ここで、「市民協働」について考えたいと思います。
市は公共施設の維持管理が今後の大きな財政課題となる、と盛んに市民に訴えています。これまで豊かな財源をもとに建設してきたインフラの維持管理経費が重荷になるからです。高野市長が訴えている「市民との協働」も、この経費削減と無縁ではありません。
公園の清掃などで市民の協力をお願いすると言っています。しかし「市民協働」の「市民」とは、と改めて聞くと「市民・NPO・事業者など」を指すと答えます。
「市民協働」で、今後は市民との充分な議論と合意のもとに市政が進むと期待している市民も多いです。しかし、「インフラマネジメント計画」で打ち出す「市民協働」は、相手は「事業者」=大企業との官民連携という筋書きが透けて見えます。
経費削減と言いつつ、道路の維持管理の責任を民間に渡してしまうことが、本当に安全や市民利益につながるのか。…市はもっと、計画の詳細を決めたうえできちんと市民への説明責任を果たしてほしいと思います。
※府中市の計画の詳細はこちらからご覧いただけます。