「化学物質政策基本法」制定を求めている「ケミネット」の集会に行ってきた(11月8日)。
日本の現行法は、農薬は農水省、建築物に使う薬剤は建築基準法(国交省)、医薬品は薬事法(厚労省)など対策がばらばら。まさに「司令塔な省庁縦割り」であり、化学物質の包括的規制をかける法律がないことが問題だった。シックハウスにしても、わずか13種類の物質しか規制がなく、それ以外は、使っても「問題なし」になってしまう。ごみ焼却場でもさまざまな温度でごみを混焼することで「非意図的生成物」が発生するが、ダイオキシンの規制しかなく、野放し状態。60年代以降生産され身近に使われてきた化学物質は何万種かあるが、安全性(危険性)のデータが不十分で、影響が出るのはこれから(アスベストがその例)であり、まさに「人体実験」の歴史であると指摘していた。
国立医薬品食品研究所(衛生研)の府中市への移転問題で知ることになった「遺伝子組み換え」実験では、扱う「病原体」や「物質」も明らかにはされていないし、実験によって「非意図的生成物」も発生するだろう。ここでも「安全性のデータがないものは危険」という考え方が徹底されない限り、事故が起きても届ける義務のない今の「遺伝子組み換え実験」施設の管理基準では、私たちの安全は「化学物質」と同様、法律で守られているとはいえないと考えるべきだ。
いまバイオ研究は国を挙げてすすめており、大学や民間でもかなり広く「遺伝子組み換え」実験が行なわれているとわかってきた。ならば衛生研だけではなく、身近にあるかもしれない施設にも、広く情報公開の網をかける規制が必要だ。集会で「未来世代・生態系を守るため、化学物質政策基本法を市民・NGOの力で制定させましょう」との呼びかけを聞きながら、そう考えた。