防災行政無線は、災害発生などの緊急時や行政情報を知らせることに使われ、日常的には下校時の子どもの見守り放送などに使われています。八王子市や町田市などでは、認知症の高齢者や障がい者が家を出たまま帰ってこないとき、家族から依頼があれば、事件性がなく、警察に捜索願を出していることを条件に、捜索協力の呼びかけも行なっています。町田市の担当職員は「捜索に効果を上げていて、問題となったことはない。せっかくお金をかけて整備したのだから日常に生かしてほしいという市民の声がきっかけで始めた」と話しています。府中市は133基もの無線局があり、充実した整備状況です。同じように利用できないか、3月議会で一般質問しました。
市は「使用に法的な問題はないが、個人のプライバシーに関ることの放送は考えていない。騒音問題も指摘されている」という答えでした。人命にかかわることなのに「騒音問題」が壁となって利用できないという見解で、残念です。
町田市では発見後、「見つかりました」と「お礼放送」も流されており、それを聞いて「よかったね」と喜び合う市民の姿があるといいます。流される内容で地域住民の反応も違ってくるのではないでしょうか。
3月12日の予算特別委員会で、私は2010年度予算にある「防災行政無線整備工事費」約4400万の内訳を聞きました。これは「セパレートコールデジタル化」を完成させる費用であり、これによりエリアごとにきめの細かな放送の調節が可能となる、と答弁がありました。
私が一般質問するきっかけは、昨年秋、知的障がいを持った青年が行方不明となり、捜索に協力したとき、町田市の事例を知ったからです。日常的に認知症の高齢者が行方不明になるという話は聞いていますし、府中市でも運用方法を明確にすれば、よりきめの細かな対応ができるようになる防災行政無線なのですから、捜索に生かすのは可能なはずです。市民の日常のニーズに応えるために無線を整備してほしいものです。