障がい者との共生を目指し、障がいがある人もない人もともに働く「共働事業所」を、40年にわたって名古屋近辺で運営している「わっぱの会」を、先月25日、府中・生活者ネットワークは視察し、理事長の斎藤縣三さんに、事業所を案内していただきました。
最初に2つのリサイクル事業所を見学しました。「エコステーション」は倉庫だった建物を借りて、市内のスーパーから出る発泡スチロールの箱の処理をしています。山のような発泡スチロールが破砕機に入れられると、どんどん吸い込まれて砕かれ、出口に用意された巨大な袋に詰められます。10人ほどで分担している作業ですが、すっかりもとの箱がなくなると、みんなで拍手!(写真) リサイクル事業は、利益に不安定さもありますが、今後展開を広めたいということでした。
次に、市の建物「西資源センター」のペットボトルの圧縮梱包作業を委託で受けている「わっぱリサイクルセンター」に行きました。床いっぱいのペットをベルトコンベアに乗せ、圧縮機にかけてまとめて梱包する作業が行なわれていました。行政との7年越しの交渉で勝ち取った委託事業だそうです。さらに委託費の増加を市に求めていきたいそうです。
無添加パンで有名な「わっぱん」やクッキーや洋菓子つくりの仕事、職業訓練や就労支援施設の「則武うどん」のお店と麺作り工場、生活援助事業の見学をしましたが、いろんな作業を皆で作りあげていることと、事業の多彩さに驚きました。
しかも、わっぱの「共働事業所」はだれもが「対等に働く場」であり、賃金も「分配金」と呼ばれ、基礎分配金は仕事内容や能力による格差をつけず、みな正社員です。ひとつひとつの事業では利益に差があるため、まとめてプールし、それを事業による違いをつけず等しく分配して、障がいがあっても自立できる生活の保障をしています。
障がい者への差別をなくし、偏見をなくし、能力主義をなくす——から始まった運動ですが、「この経済危機で今求められている働き方だ」と斎藤縣三さんは話します。「ともに働く ともに暮らす」が今回の視察の大きなテーマでしたが、それは絵空事ではなく、現実にできる!と知り、大きな糧になりました。私たちも地域でともかく第1歩から始めなくては!——と強く感じました。