多摩川衛生組合による「有害ごみ」乾電池・蛍光管の焼却「実験」発覚!

  府中市民の可燃ごみが運ばれている多摩川衛生組合(以下、衛生組合。稲城市にあり、管理者は石川稲城市長。構成市は稲城市、府中市、狛江市、国立市)で、昨年12月22日から25日までの4日間で、なんと乾電池3トン(ドラム缶9本分)、蛍光管3.3トンという膨大な量を燃やす「実験」をしていた問題を、私は9月1日の一般質問で取り上げました。
  きっかけは、昨年度の月ごとのスラグ生産量の資料の備考欄に書かれていた「有害ごみ焼却試験実施(乾電池・蛍光灯)」の一文でした。5月に情報公開を求めて出てきた資料ですが、7月に23区の4つの清掃工場で、相次いで水銀濃度が自主規制値を超えたために焼却を停止した事件がなければ、見過ごしていたでしょう。

  衛生組合では6月15日に塩酸漏洩事故を起こし、7月31日までごみ焼却を停止しました。その事故原因への疑問から、8月18日に府中ネット5人と狛江ネットの市議吉野芳子さんとで衛生組合に出かけ、話し合いをしましたが、その席で衛生組合の職員が、この「実験」についてもまったく悪びれることなく、目的や方法の資料、現場の状況写真を用意して説明してくれました。
  写真には防塵マスクをつけた労働者が、乾電池や破砕された蛍光管をドラム缶からホッパーに投入している様子などが写されていましたが、説明の態度からは、問題になる実験であるという意識が感じられませんでした。

  構成4市は、現在、乾電池・蛍光管など水銀を含むものは「有害ごみ」として別途収集・保管し、貯まったらリサイクル業者に処理委託しています。水銀だけでなく、重金属や発癌物質も含まれており、労働者の安全、環境への配慮からの処理方法であるはずです。しかし法的な定めはありません。衛生組合も「法的には問題はないので、リサイクルにかかる処理費の削減のために焼却できないか考えた」と説明しました。
  しかも「実験」は稲城市以外の3市の担当者にはまったく知らされず計画・実施されていました。「この実験で問題がなければ、焼却を構成市に提案するつもりだった。報告はそのときでよいと考えていた」と、これまでの収集・保管の原則を覆す提案にもかかわらず、ずいぶん手続きが軽視されています。もし事態が発覚しなければ、今ごろ提案されていたかもしれません。

  そんな18日のやり取りをもとに、9月1日の一般質問では、「構成市の了承を取らず、管理者の稲城市長の独断で行なわれたものである。衛生組合は4市の分担金で成り立つ施設であり、こんなやり方は認められないと」市の見解を質しました。市も「まことに遺憾。厳重に抗議した。今後は焼却が提案されても認めない」と答弁しました。

  なぜこんな「実験」を行なったか、本当の理由が「経費削減」だけとは考えにくいものがありますが、衛生組合には23区のような水銀の自主規制値もなく、何を燃やしても大丈夫だという意識があるのでしょう。炉の損傷だけでなく、将来にわたる環境汚染、労働者の安全などがまったく考慮されていません。これが残念ながらこの国の現状であり、そこを突いて行なわれた「実験」ですが、私たちの足元で行われたことに驚き、愕然としています。

  ※9月2日付朝日・毎日・東京新聞の、いずれも多摩版に報道されました。朝日新聞では、衛生組合提供の実験の写真が掲載されました。ご覧ください。