府中市の「地域防災計画」だけで避難所運営は大丈夫?

  「府中市地域防災計画」(震災編)は、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震などから得た教訓をもとに東京都の防災会議が行なった「首都直下地震」の被害想定を前提として、2008年に改訂されており、多摩地域に直下型地震(M7.3)が起きたことを想定しています。インターネットでも検索できます。

  東京都内の各自治体はそれぞれ計画を作っていますが、「いざ」というときに備えた住民も巻き込んだ取り組みは、自治体ごとに温度差があることを、この計画の素案が示されたとき「要援護者支援のための態勢がどうなっているか」を一般質問するため調べて感じました。

  板橋区では、高齢者や車椅子のひとと子どもたちが一緒に避難所まで実際に移動するなどの取り組みを避難訓練の中で行なっていました。国立市では、避難所で想定される課題を出し合い「避難所運営ガイドライン」をまとめ、マニュアル作成のための指針を示しています。府中市は、計画は法律に定められているので作った、という感じでした。市民と市が一緒になって『実際の場面』で活かすための取り組みが、いまの市の避難訓練だけで十分とはいえないと、その時思ったのです。例えば要援護者の移動の問題、安否確認、避難所でのプライバシーの問題などは、想定だけでは足りません。

  避難所については「地域防災計画」中、第9章「避難計画」の第1節「避難場所・避難所などの整備」のなかで、「一次避難所」として小・中学校及び総合体育館が定められています。しかし、「3・11」後に市に聞いたところ、初動班として避難所に職員が駆けつけることが決まっているものの、まだ、それぞれの学校が避難所運営のマニュアルを作成するためのモデル校を定めようとしていた段階だというのが、現状でした。

  避難所での生活は、日が経つごとにストレスや疲労からさまざまな困難が伴うことがわかっています。その絶望感からの被害をいかに少なくするか、が阪神・淡路大震災や新潟県中越地震から得た教訓を活かすことでもあり、それがいま東北地方などでも活かされていることを強く願うものです。そして、府中市でも、女性や障がい者や高齢者の立場の声も十分活かした具体的なマニュアル作りを始めることが、求められています。