そこに「3・11以後」という、今までの価値観を大きく転換せざるを得ない事態に立ち至ることになりました。これからどんな社会を築くのが「復興」であるのか、すべての自治体と市民が真剣に向き合うことが求められています。
「非常時」への心構えと備えも「復興」の課題です。「非常時」には日常やれること以上のことはできない、と言われています。避難生活では、普段から高齢者や障がい者が共に地域で暮らしていたかどうかで、対応が違ってくるといいます。日常の高齢者や障がい者のケア施策の充実と、次の世代をになう子どもたちの「インクルーシブ」(障がいのあるなしで分けない、共に学ぶ)教育が求められます。
地域のエネルギー政策についても課題が明らかになりました。原子力は、いったん暴走すれば取り返しのつかない被害をもたらします。
再生可能な資源の太陽光や風、水という地域エネルギーを活かしたシステムを導入することを、今こそ検討すべきです。自然の資源を利用した発電と送電システムを整備しなければいけません。水の確保も、雨水や川や地下水と、いろんな選択肢の中から考えるべきです。そこに科学技術を活かして、電気と水の自治、できるだけエネルギーの自給ができる体制を自治体も目指していくことが必要です。
長野県飯田市は、NPOとともに、太陽光発電を活かすシステムを作っていました。山梨県都留市は、川の流れを水力発電に活かすシステムを作っていました。府中・生活者ネットワークは、それらを視察してきました。そこで分かった課題のひとつは、いまは電気を作っても、市場に売ることができないということでした。
しかし電力会社の一極集中システムはこの原発事故を教訓に、改められるでしょう。
これからどんな「復興」をするのか、どんなシステムを作るのか。環境や福祉で、持続可能なシステムつくりを、市民が中心になって考えていきたいものです。「大事なことは市民が決める」。生活者ネットのスローガンです。