映画「だれも知らない基地のこと」〜世界から見た日本人が知らない米軍基地問題の常識  

イタリア人監督が迫るオキナワの現実

4月7日から渋谷の『シアターイメージフォーラム』で、2人のイタリア人が監督した上記タイトルの映画が上映されています。製作のきっかけは、アメリカが2007年に、世界遺産にも登録されている町ビチェンツァに基地建設計画を発表したことだそうです。

 なぜ米軍基地はなくせないのか——という問いを、インタビューと、主にインド洋のディエゴガルシア、イタリア、そしてオキナワの基地の記録映像を組み合わせて、ナゾ解きしていました。
 ・・・世界の38カ国に716基の米軍基地があり、25万の兵士が駐留し、110カ国に常備軍を保有・・・冷戦が終わり敵はなくなったはずなのに、新たな「敵」を作り出している、麻薬、テロ、中国。撤退しないための理由付けをしながら、いつでも戦争できる態勢が作られている・・・ドイツ、イタリア、日本には60年以上も「駐留」している・・・ほとんどの基地は戦争の戦利品であり、略奪品である・・・ディエゴガルシア基地は、島民全員を追い出して作ったが、元の島民は帰島を願ってたたかっている・・などの映像は衝撃でした。

米国の作家であり国際政治学者である、もとCIAの顧問が「米軍基地は古代ローマ帝国のような帝国化の象徴である」と語っています。しかし駐留されている国民からみれば「占領」です。反対の声を挙げるのは当然ですが、なぜ「口実」ををつくってまで「がん細胞」のように居続けるのか。
そこに、普天間基地を何とかしようとした鳩山政権など太刀打ちできる類ではない、巨大な軍事と産業がつながった「儲け」の仕組みが表わされていました。

監督たちは当初、オキナワの取材は考えていなかったそうです。しかし、オキナワの現実がなにより過酷であり衝撃的で、映画でも重要なパートとなっていた、ということです。
5月に「沖縄返還」から40年が経ちます。映画の中で「自分たちの土地がなぜ、アメリカのものなのか。なぜ、人殺しに使われるのか」と訴えるオキナワの人たちの言葉は、わたしたちにも向けられています。「抑止力のために、米軍は必要だ」という言葉を一方的に信じていないでしょうか。それがオキナワの人たちにとってはどう受け止められるでしょうか。

 *昨年末時点での米国防総省の統計に基づいた数字(3月25日付朝日新聞)では、米国内の基地と領海には122万人の兵士がいて、米国外には30万人の兵士が駐留しているのが、「米軍の世界展開」の現状だそうです。