2010年の塩酸漏えい事故で焼却炉が停止したり、有害ごみである蛍光管や乾電池などを焼却処理していた事態が公になって以降、「再発防止策」に取り組んでいるとしているものの、最近の水素爆発事故だけでなく、水銀の挙動を監視する連続測定器の設置を取りやめたり、中央制御室に人権侵害ともいえる監視カメラなどが設置されるなど、本当に事件・事故の反省に立ったごみ処理が行なわれているのかという問題意識から提起された集会ですが、わたしのこれまでの経過報告の後に、現在委託で焼却に携わっている作業員の方たちが話してくれた、今の現場の報告がショックでした。
『昨年4月から、入札によって、安上がりで請け負う業者に委託され、それまでより人数も減り5人で回している。以前から、搬入されるごみは問題のあるものも多いし、今も毎日3〜4回トラブルも発生している(!)が、現状を多摩川衛生組合に訴えても対応してもらえず、そのまま焼却に回してしまうこともある現状。労働環境も、昨夏は冷房を求めたが設置してもらえなかった。灰クレーンに違法に搭乗した事件も、本来なら専門業者に任せるべきことを、お金がないからと自分たちの仕事になったことによる。24時間、365日市民のために動かす焼却だが、人が足りない、回せない。それを、委託料が安ければよいと放置していたら、大変なことになることを、市民は考えてほしい。有害ごみ焼却実験以前からいろんなものを燃やしてきていたし、この実験も準備は事前に行なわれていた』という話でした。
日の出町との協定があるので、自分たちはそんな燃やし方は考えられないし、現場の話はひどすぎると、多摩ニュータウン環境組合で委託で働いている参加者が驚いていました。現場の声がつながり、参加者と共有できたことは大きな成果だと思います。
一部事務組合という組織は、構成市の市長の責任のとり方もあいまいで、市民の声も届きにくいのですが、それに加えて衛生組合議会も機能してきませんでした。しかし、事故や不祥事を経ても、少しもよい方向に向かっていないことが、集会で明らかになりました。今のままでは、大きな事故につながることも心配されます。
多摩川衛生組合の職員として、内部告発をした伊藤健一さんの権利を守る活動から出発して、ついに集会を行なうに至った「伊藤健一さんを守る会」ですが、その活動は継続しながらも、今後は「多摩川衛生組合のあり方を考える市民の会」を発足させ、以下の活動を行なうことを、参加者と確認しました。
①多摩川衛生組合の運営体制の状況を、構成4市の市民として監視 し、労働環境の改善およびプラントの事故防止や労働安全衛生法違反事件の防止などを求めていく。
②職員組合や委託先の労働組合と連携、連帯していく。
③自治体職員や関連団体の職員の労働組合である自治労東京都本部と情報交換を行い、必要な場合には支援を要請する。
④ごみの最終処分場である日の出町の町民の皆さんと意見交換などを行なう。
⑤多摩川衛生組合を構成する4市の市民や、関心を持つ他自治体の市民などに対して、広く課題や問題点の情報を提供し、連帯・連携する。
⑥必要に応じて、多摩川衛生組合との交渉を行なう。
などです。課題の大きさを考えると、活動はまだ緒についたばかりだと、実感しています。