8月26日、3つの小中学校で同時に行われた『府中市総合防災訓練』

例年この時期に、1か所の学校内で行われてきた総合防災訓練ですが、今年は同時に1中、3中、本宿小学校で行われました。私は主に1中に参加し、3中の様子も見てきました。

 

防災訓練は毎年どこの自治体でも行われていますが、府中市は例年、防災関係の官庁や事業所の活動を「見せる」ことに主眼がおかれていました。しかし今年は自治会単位で住民が集まり、体育館での避難所体験、起震車体験、消火器や救助など「体験する」ことに主眼を置いた訓練に変わっていました。

 

1中の体育館では、防災倉庫にある間仕切りや、簡易トイレ、簡易テントが組み立てられ、その脇で市職員が、「この暑さの中で、何千人も一緒になることを想像してください。まず、ここに来ないで済むように備蓄しておくことを考えてください。着替えも容易でないことを考えてください」と訴えていました。今までにない説得力がありました。そして誰もが簡易トイレを覗き込み、こんな簡単な仕切りで用が足せるか…などと考えたと思います。

 

今後は地域の車椅子の方や高齢者をどう避難させるか、避難所ではその方たちや、女性が、こんな間仕切りやトイレでプライバシーが保てるか…などさまざまな課題が見えてくるでしょう。避難所の運営はリーダー次第であることが震災の教訓ですが、自治会単位ではなく、市が大きくかかわる総合防災訓練での体験は、住民がその状況に置かれた時のことを想像するきっかけになったのではないでしょうか。

 

日常行なっている以上のことは、絶対に非常時にはできないと言います。今後は、地域で「災害弱者」といわれる人たちの視点が生かされる「避難所運営ガイドライン」の策定に向けた第一歩と、この防災訓練を市が位置づけてほしいと思います。

 

 昨年は、自衛隊は会場の一角で炊き出し専用車両でカレーを作っていたのですが、今年は航空自衛隊府中基地所属の自衛官が、東日本大震災時のレスキューの装備ややり方を説明するブースが作られていました。若い自衛官が住民の質問に答えていました。

確かに自衛隊はさまざまな地域で災害救助を行ってきていますが、本務ではありません。人命救助の訓練を日々行っているのは消防レスキューであり、阪神淡路大震災時や3・11でに人命救助の割合は自衛隊よりはるかに高かったと聞きます。しかし今日、レスキュー隊の参加はありませんでした。自衛隊よりはるかに少ない人数という現実も、考えさせられました。