「原発事故子ども・被災者支援法」の早期実現を求める意見書を市議会に提出

 昨年6月に議員立法で、全会一致で成立したこの法律は、一定以上の放射線被ばくにさらされている地域の住民に対して、避難することもとどまることも、避難先から帰還をすることも、そのいずれを選択した場合も国が適切に支援することを定めており、放射線被ばくによる健康被害の未然防止のために子供や妊婦に対して、国の責任で無料の健康診断、医療費の減免を行なうことなどを定めた画期的なものですが、以来1年以上も計画の策定が店晒しのままで放置されており、早急に実現のための方針を国が出すことを求める意見書を府中市でも出したいと、8月にこの欄で報告しました。

 9月議会での意見書の提出に向けて準備をしていたところ、なんと8月30日に「基本方針」が国から示されました。被災者の切実な声に国は応じざるを得なかったのでしょうが、しかしまったく不十分な内容であるという怒りも同時に伝わってきました。

 そこで「基本方針の策定を求める」ではなく、「法律の基本理念に基づく施策の実現」を求める趣旨に変更することにし、ハードルは高くなったのですが、市議会の各会派にぜひ採択をと交渉を続けました。

 国が出した「方針」の大きな問題のなかで、「支援対象地域」とされた範囲が限定されていること、居住者・避難者・帰還者に対する幅広い健診が不十分であることなど、被災者の声が反映されたとは言いがたい方針であるという点は、文章内に盛り込むことの合意が得られました。
しかし、具体的要望事項の中では、公聴会を開くことや、医療費の減免や、二重生活における移動交通費の支援などを盛り込むことは、会派との意見のすり合わせの中で、意見書採択のために断念せざるを得ませんでした。また、1年間の追加被ばく量が1ミリシーベルト以上のところを対象地域とする、といったそもそも国が認めようとしない根本の問題についても要望に盛り込むことができず、力不足で残念です。

 しかし、府中市議会において、生活者ネットワークが提案した、原発事故による被災者の救済のための意見書が、ともかく全会一致で採択されたことは、貴重な前進だと私たちは思っています。

*近いうちに府中市議会ホームページで公開されます。ぜひご確認ください