府中市教育委員会は、障がいのあるお子さんの保護者に対する「付添い」を求めないで、学校として「共に学ぶ」ための配慮を尽くすべき!

 6月議会の一般質問の報告です。

 5月に府中市の小学校の普通学級1年〜6年に在籍する「障がい」のあるお子さんの「付添い」をしている保護者(みな母親)から、学校として介助員を配置してほしいという要望を行ないたいので、実態を聞いてほしいという相談がありました。

 お話を伺うと、就学相談の時に相談員から「付添うと言いましたよね」と念を押されたとか、自分が病気になった時には付添えないので止むを得ず子どもを休ませたとか、遠足での付添いを求められたとか、宿泊行事などでは自費で参加を余儀なくされたとか…保護者は口々に日々の大変さを訴えていました。本当に、障がいがあるという理由で、ここまで学校が配慮を行なわないのか、差別だ!とあきれるばかりでした。

 一般質問では、小学校の普通学級で保護者の常時や臨時での付添いの実態があり、移動教室や修学旅行でも「お願い」していること、小学校の特別支援学級や「持病への対応」という付添いの例があることがわかりました。
 保護者への付添いを「お願い」する理由として「安全面も含めてより細やかな配慮が必要と判断した場合」が挙げられ、「保護者と相談している」といい、付添いが「お願い」できない場合は「教員や学校支援員が付添っている」そうです。

 障害者権利条約の批准に向けて、さまざまな法律が改正されたことを市がどう受け止めたかが問題です。社会のほうが、特に行政機関が「合理的配慮」を行なわなければ障がい者の権利は守られないのだという意識の転換がなされていません。

 保護者の付添いが「合理的配慮」に当たると考えているかという質問には、「付添いが合理的配慮に当たるかどうかを画一的に決めるのは適切ではない。障害者基本法の趣旨を踏まえたうえで、当該児童・生徒の状況により必要な支援や配慮を個別に判断し、その子に合った対応をすることが合理的配慮である」という、すごい理屈を公の場で述べました! 文科省ですら2012年7月に出した「インクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進報告」の中で「学校における保護者の待機を安易に求めるなど、保護者に過度の負担を求めることは適切ではない」としているにもかかわらず、です。
 共に学ぶための配慮を行政が尽くしておらず、障害者基本法や障害者差別解消法の趣旨に反しており問題であると言っても、「現状では付添いをお願いせざるを得ない場面がある」として、教員や学校支援員を拡充することは難しいとの回答に終始しました。法律が変わっても、現場はこんな実情か、と壁の高さを実感しました。

 おそらく全国中でこんなことが通っていることが、府中の市教委も譲らない原因でしょう。「共に学び、共に生きる」の理念が教育現場に及んでいません。後日、市の「障害者計画推進協議会」を傍聴しましたら、委員の一人(私は知らない人)が「学校で保護者の付添いがあるが、なくすべき」と意見を言っていました。そういった声は福祉行政には挙がっても、教育担当者には届かないのが無念です。

 保護者の方たちは、兄弟姉妹の世話もあったりして、毎日大変な思いをしていました。法律が変わり、「合理的配慮」は社会や行政が行なうべきとされたことに意を強くして、市に対する申し立てを行うと決意し、「学ぶ権利」を主張されています。市は「予算の制約」や「人出不足」という理由でこの思いを受け止めないのですが、それこそ差別!という声が、これから全国の声になり、教育行政を動かしてほしいと思います。

 

答弁を表にしました。ほかに、移動教室では小学校の通常学級の常時付添いの方が1人付添い、特別支援学級の2人が林間学校に付添い。その他「持病への対応」での付添いが、小学校2人、中学校1人あるそうです。

  常時付添い 臨時で付き添い
通常学級    小学校 3人 5人
通常学級    中学校 0人 1人
特別支援学級  小学校 0人 7人
特別支援学級  中学校 0人 0人