有機農業と自然エネルギーで地域を再生し、子どもたちが暮らせる故郷に!

〜南相馬市の視察報告会で農地再生協議会の杉内さんのお話を聞いて〜

 このHPでは4月に紹介していますが、4月6日〜7日の南相馬市の視察報告会と学習会を9月6日に府中グリーンプラザで行ないました。
 私たちの視察報告に続いて、南相馬農地再生協議会代表の杉内清繁さんをお招きして、現状と課題を話していただきました。

 杉内さんは以前から有機農業で米作りをしていたそうです。3.11後の避難の体験をはじめに切々と話されましたが、「もう福島のことはすっかり忘れられている…」と嘆息の表情でした。聞いていてつらいものがありました。
 用水路は地震で寸断、田畑は海水による塩害、しかも土壌の放射能は山のほうの水源から運ばれてくるのかなかなか減らず、作付制限、風評被害と、耕作をあきらめる農民が続々の状況だそうです。特に放射能値が高い小高区は94%の農地が放棄されており、再生は無理と思われるところに、一時的な除染でゼネコンが入っているということです。

 あきらめるわけにはいかないと、有機農業を続ける決断をし、活動を始めたのは、子どもたちに地域再生の想いをつなげたい、このままでは村が亡くなってしまうという危機感でした。「今までは恵まれた環境と自然があたりまえだった。それらを奪われて初めてそのありがたさ、貴重さがわかった。農薬を使わない、遺伝子組み換えを取り込まない、放射能も除去する地産地消の農業を続け、子どもたちに伝えたい」という決意の言葉に、胸が締め付けられました。

 チェルノブイリで行われている「菜の花プロジェクト」の実践を始めています。ナタネで土壌を少しずつ浄化させ、子実は熱も薬品も加えず絞ってオイルを食用として販売したり(油のほうに放射能は移行しない)、石鹸の原料や燃料として活用し、搾りかすはバイオガスやたい肥として圃場へ還元させながら、コメや麦、大豆、油脂作物、野菜を作り続ける、新「地産地消」だということです。

 農地の上にソーラーパネルを取り付けることも始めています。この許認可にとても手間がかかるといいます。国はゼネコンの除染にはお金を落とすが、住民による地域再生のためには協力はしない…と嘆いていました。しかも原発が今後どうなるかもわからない、こんなプロジェクトで地域再生はいつまでたってもダメかもしれない…とも。

 「悲壮」な決断にも思えます。そのおおもとは東電の原発事故です。私たちにも責任があります。オイルは地元の高校生がデザインしたラベルが貼られたびん詰で販売するそうです。高校生の夢でもありました。協力したいと思います。