12月議会では「障害者差別解消法」に府中市がどのように対応するか一般質問しました

~国の「基本方針」次第だそうです。基本方針案に、意見を出しました~

私は12月議会の一般質問で、2016年4月施行のいわゆる「障害者差別解消法」に府中市がどのように対応するかの方針について聞きました。

 同法に則り、行政機関でも障がいのある人も共に社会に参画するために必要な「合理的な配慮」が求められますが、具体的な内容は、国の「基本方針」に定めるとされています。ちょうど一般質問をしたころは、国の障害者政策委員会で素案がまとまり、パブリックコメントの募集中でした。
 そのため、市の答弁は、府中市にも社会的な差別が存在することは認めつつも、差別解消法に基づく「基本方針」や「ガイドライン」が、きちんと国から示されるのを待ってから、近隣の自治体の状況を見て対応するとのことでした。たとえば教育の場で、障がいのある児童・生徒への「合理的な配慮」の内容などについて、市独自に何か具体的に進めたいという方針が示されず、話し合いの体制を作る予定であるとするにとどまりました。

 府中市の障害者福祉計画案が12月にまとまっています。策定するにあたっての議論の中でも、教育や雇用の面で差別解消法では問題となるような事例が当事者や支援の団体から挙げられていました。このような障がい者の声を真摯に受け止め、市全体で検討する体制を作り、差別のない地域づくりを行なってほしいと訴えました。

 国のパブリックコメントにも意見を出しました。「基本方針」の案は、国の障害者政策委員会できちんと討議されたものですが、その中で出された修正意見がきちんと案に反映されたとは言えないようです。「基本方針」は年明けに閣議決定されると言われています。ちょっと内容は細かくなりますが、私が出した意見を抜粋します。
 3年後には見直されますので、法律を実効性あるものに育てるために、ぜひ、「基本方針」についても注目していただきたいと思います。

パブリックコメント★教育に対する意見

P3 Ⅱ 1 法の対象範囲(1)障害者 のところ、最後に「障害者の家族も対象とする」を追加してください
教育において、障がいのある児童・生徒の保護者に付き添いを求めることが普通学級でも特別支援学級でも、全国で正当化され行われていますが、これは障がい者の保護者に対して、障がい児の親であるという避けられない理由で受ける差別です。現状を調査して、文言を追加してください。

P4 Ⅱ 2 不当な差別的取扱い(1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方①のところ、最後の「なお、障害者の事実上の平等を促進し、または達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取り扱いではない。」の部分で「必要な」の前に「本人が望む」を追加してください
この基本方針案の1〜2ページで述べられているように「障害の有無によって分け隔てられない…社会の実現」が大切なことです。現状の特別支援教育の在り方はこの理念に反すると考えます。この文章のままでは特別支援教育が「必要な特別な措置」として「平等」な教育であるとされるおそれがあります。

 P4 Ⅱ 2 不当な差別的取扱い(2)正当な理由の判断の視点の4行目、「第三者の権利権益」を削除してください
この言葉が入らないと、当事者間の話し合いだけではない判断が入ってしまいます。差別は、受けた当事者の問題です。

P6 Ⅱ 3 合理的配慮(2)過重な負担の基本的な考え方 の本文全文について書き換えてください
 私は、教育の場での障がいのある児童・生徒の保護者に付き添いを求めることは問題だと思います。この文章のままでは、介助員や支援員や看護婦のための予算をつけることも「過重な負担」であるとされてしまうおそれがあります。
 「具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断する」という文章のままでは、学校が当事者との話し合いもなく、学校主体で「総合的・客観的に合理的配慮がこれ以上はできない」と決めて、安易に保護者の付添いを話し合いもなく一方的に押し付けることが「説明」にあたるとされてしまうと考えます。
 本文前段を「過重な負担については、行政機関及び事業者において、個別の事案ごとに具体的な場面や状況に応じて、障害者が合理的配慮を受けられないことによって失う権利や利益と比較考慮してもなおやむを得ないとされるほどの負担が生じる場合を意味するものとする。」とし、後段を「行政機関及び事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者に理由を説明し、理解を得るよう努めることとする。さらに解決に向けて、当事者間で代替案や改善計画を含め協議していく」と改めてください。

P10 3 啓発活動 (3)の② インクルーシブ教育システムは特別支援教育の推進の意味で用いられており、権利条約に反します。②は文頭から…推進しつつ、までを削除してください