なかでも、水銀を含む「有害ごみ」の蛍光管を日常的に現場で破砕、焼却していたことは衝撃です。これまでに明らかにされた衛生組合の事実と経過を、1月15日(土)ルミエール府中で「空には壁がない〜焼却されるごみから私たちの環境を考える」と題し、中間報告しました。
その報告を受け、(株)環境総合研究所の池田こみちさんを講師に、問題点を聞きました。衛生組合では、水銀は「焼却試験」でも作業環境や排ガスにかなりの濃度で排出されたが、日常的に蛍光管や乾電池だけでなく廃プラスチックなどを焼却しており、さまざまな危険な物質が産み出されてきているといいます。しかし限られた物質だけを連続測定でもなく、いくつかの測定値の都合の良い数字のほうを出せばよいとされる現状は、イギリスなどと比べると説明責任を果たしていないと批判されるなど、科学的知見と比較実例に基づく日本の焼却施設の環境汚染の実態を明らかにしてくれた、貴重な報告でした。
この集会終了後の1月15日(土)の朝日新聞夕刊に、「水銀規制の新条約」の記事が出ており驚きました。「水俣病問題をきっかけに脱水銀が進んだ日本」は、その経験から生まれた技術を世界に発信し、削減に貢献したいと交渉をリードし、条約を実現させたい考えであると記事で述べています。北海道イトムカ鉱業所の蛍光管や乾電池のリサイクルの様子にも触れていました。
しかし多摩川衛生組合のように、イトムカに運ばれる前に破砕されて拡散していたり、あるいは埋め立てられていたり、焼却されていたりと、清掃工場から水銀がどれだけ排出されているかの実態把握もノーマークであると、池田さんは怒っていました。こんなことで日本が条約をつくろうなんて全く「恥ずかしい」と。
ごみ処理を焼却に依存している日本は、膨大な建設費がかかるプラントを税金負担でつくり続けていて、住民の健康・安全よりも、企業優遇としかいえない。いかに焼却するごみを減らし、焼却炉を減らすビジョンを立てるかが、多摩地域全体で求められています、と池田さんは私たちに本当に大きな課題を示されました。