市の「スマートインターチェンジ計画」で「自治体」のありかたを考える

 昨年3月の議会に、中央高速道府中バス停付近から東郷寺通りを出口とする、ETC車専用のスマートインターチェンジ(SIC)建設計画が報告されました。SICは全国で道路特定財源を使って進められていますが、国会で「道路予算の無駄遣い」と追及した議員も複数おり、誰のため、何のためという疑惑がこの計画にもつきまといます。
 6月議会でこの計画の経緯や疑問を市に一般質問しました。計画の発端は国や都からの設置要請であり、住民要望ではないこと、計画段階で地域住民に説明もなかったことは市も認めました。何のために必要なのかについては、国の言い分と同じ『交通ネットワーク整備と利便性の向上のため』という答えでした。
 しかもこれまで工事費18億円は中日本高速道路㈱が負担し、市負担はほとんどないとしていましたが、周辺の東郷寺通り、九中通り、清水下通りなどを「ネットワーク道路」として整備することや、出口付近の交差点改良、用地買収の話が、この議会で市から突然出されました。SICに反対の声があったからこの計画を出したのか、今後の市の負担額はどのくらいの額かついて、市の説明はまったく不明です。
 「計画を白紙に戻し、住民参加と情報公開で進めるべきである」と訴えましたが、もはや「地元の発意として国交省に許可申請しており、計画の変更はできない」という答えです。6月30日、市は「国土交通大臣から許可が下りたので、11年建設を目標にする」とプレス発表しています。
 総合計画にもなく突然出てきたSICより、高齢化社会に向けた公共交通優先、福祉・緊急車両優先、車を減らす環境優先の施策が、これからは求められるはずです。しかし経緯を見ると、国や都がすすめたい公共事業に、市は意見をしないという行政姿勢が明らかです。国の高速道路建設は、凍結が解除されるなど、ますます無謀になっています。「公共」の名の下に進む車優先施策に無批判な府中市は、いちど『自治』について考えてほしいと思います。