新しい市庁舎には、その市の特徴があらわれます
埼玉県北本市、佐賀県小城市の新市庁舎の案内表示や災害対策室を見て…
私は府中市議会の市庁舎建設特別委員会に属しています。
市は、市庁舎が老朽化しており、市の規模の拡大によって執務環境が狭隘化、分散化しているため新しい市庁舎を建てる方針を決めています。それに議会の対案を議論する委員会なのですが、各地の状況を学ぶために、今年は、去る21日〜23日、埼玉県北本市や佐賀県小城市などの新市庁舎を視察しました。
視察ではまず、市庁舎建設の経緯やコンセプトについて、担当課から話を聞きます。そのあと建物を見学します。その中で、短時間ながら、市の考え方がうかがえることもあります。
北本市は、住民情報システムと窓口連携の新システムを、力を入れて導入していました。「住民情報システムは、サービスの基本。何度も住所と氏名を市民に書かせない、わかりやすく、待たせない、つながる窓口」を構築してきたことが担当課から力説されました。
私は庁舎内の見学で「あっ!」と思ったのは、「障がい者福祉課」の案内版です。普通は「障害者」と書くところです。「害」の文字に抵抗があるので、私自身は「障がい」という言葉を使いますが、行政がこの表記を使うのはかなりこだわりがあるのでは…と思い、質問しました。「そうですね。前にこの表記にするか議論がありました」という説明でした。議論の結果、府中市も、と改まる方向を、私も提案していきたいと思いました。
佐賀県小城市は、2007年に合併してできた市ですが、人口は5万に満たない地方都市でした。ですから説明してくれた担当者の方も「うちの市は自主財源が3割しかない、交付金に頼らざるを得ない市です。府中市にどれほど参考になるか…」としきりに恐縮しておられましたが、私は市庁舎に足を踏み入れたすぐに、大きな文字の大きな案内板に驚きました。わかりやすい、見やすい!ですが、それでも「もう少し予算があったら、色分けをもっとしたかった。市民も高齢化ですし」と率直に語られたことが印象深かったです。
合わせて、防災対策室に案内してもらって驚いたことがあります。海も山もある市で、災害対策は高潮、土砂など多岐にわたっていて大変だ、と思いましたが、原子力災害対策もあるのです。聞きましたら、玄海原発が山の向うにあり、40キロ圏内で、つい最近も、原発からの避難経路の唐津街道があるため、避難者受け入れの訓練をしたのだとか。
地方都市の負担は、私たちはあえて聞かないと思い至ることは少ないことに、はっとしました。「再稼働」の方針のままでは、いつまでもこの負担は続くことになるのです。
府中市とは市の規模や立地条件は違うとはいえ、得るところ、考えることが多かった視察でした。