前回、「福祉の街づくり審議会」の傍聴記を書きました。役所の「先例主義」なるものについて考えてみたのですが、もうひとつひっかかっていたことがあります。「障がい者や高齢者の状態が市は把握できているか不安です」、という委員の質問に対して、民生委員の方も「私も把握しておかなくてはと思うのですが、市は個人情報だからと教えてくれません」と、同じように質問しておられたことに対してです。
個人情報と言いつつ、漏洩が絶えない現実、個人情報だからと、学校の連絡網作成にも制限がかかり、地域のことがわからない現実などを見聞きしています。それで、「個人情報」で得をしているのは誰か、などと、勧誘電話があるたび考えさせられてきたのですが、ここでも「個人情報の壁」がありました。
つい先日、地域の民生委員の方と話をしていましたら、ちょうどその時、前任の民生委員の息子さんが市の便りを届けにきました。いわく「まだ前の方に届くのですよ、7年前に替ったのに。市には何度も言っているんですけどねえ」「この地域のどこにどんな障害の方がいるのか、高齢の方やお子さんがいるのか、自分で把握する以外にありません。いざというときにも役に立てたらと民生委員を引き受けたのに、そんなこと市は教えてくれません。これではやる気もなくなりますよ…」
必要なときに必要な手立てが、これで届くのか、気持ちのある人を生かしきれるのか。「個人情報の保護」のために、得られるものと失っているものの検証が、されたほうがいいのではないか、と思います。
ともかく、いざというときには、おそらく市からの手立てはすごく心もとない。しかし地域の助けも、日頃の地域との関わり次第、というのでは、なかなか動けなかったり、意思を伝えることが難しい人には辛いことかも、と、今までは知らずにいた地域の現実を知り、ショックでした。