食材の選び方で、内部被ばくは減らせる。学校給食の献立への配慮を求めたい。

  

     上田昌文さん講演会「放射能のリスクと私たちの暮らし」から学んだこと

    1016日、NPO法人コミュニティスクール・まちデザイン主催の市民講座企画で、NPO法人市民科学研究室の上田昌文さんの「放射能のリスクと私たちの暮らし」と題した講演会が開かれ、参加してきました。

 いまだに何をどのように子どもたちに食べさせたら、内部被ばくの影響が減らせるのかと悩んでいる保護者も多い中、様々なデータを駆使した参考になる話が聞けました。

   上田さんは、低線量被ばくに、これ以下の数値なら安全だという閾値(しきいち)はないといい、できるだけ汚染の少ない食品を選ぶことが確率としての安全の度合いを高めるといいます。成人で1日数ベクレル〜10ベクレルの恒常的摂取が望ましいのですが、そのために「福島産を買い控える」という、県や地名での対処は現実離れしていると断じます。

    福島県はセシウムの低減化対策が効果を上げ、今は汚染も全体的に減ってきて、数値が高めに出る品目は限られてきていることから、「検査のすり抜け」を心配するより、傾向をつかんで食材を選び、セシウムの摂取量を1日10ベクレル以下に抑える工夫が大事だと言います。

    では、何を選ぶか? ですが、公的に出る数字の羅列より「マダムトモコの厚労日報ダイジェスト」などが参考になるそうです。

    そこで、上田さんは主食、魚類、野菜、牛乳、卵、肉、果物に分けた、それぞれのたくさんの品目の表の中から、バランスよく10種類を選んで献立をたてる作業を、参加者に提示しました。よーく考えたつもりでも、選んだ食材の数値を合計してみると…3ベクレルから10ベクレルくらいまで、参加者の出した結果には大きな幅があり、驚きました。これまで検出された最大値の数字で計算しているのですが、特に魚は生息状況、野菜は吸収の特徴から、種類によって大きな差があることが分かり、食材選びの必要性を感じました。

    そうすると、学校の給食の献立も、栄養士さんの考え方や知識のあるなしで、大きな差が出ることになります。福島原発事故のような長期にわたる低線量被ばくは、今まで世界で経験がないことで、これからどう影響が出るかというデータに参考になる例がないのです、と上田さんは強調します。

    食材からの内部被ばくの影響を過小評価せずに、学校給食に携わる人たちは、子どもたちの健康への配慮を最大限に行なってほしいと思いました。