豊かな森とひとのつながりを生かす試み〜「トランジションタウン藤野」に行きました!

エコメッセ府中店「水・緑・木・地」開店3周年記念エコツアー参加報告

   10月28日、エコメッセ府中店企画の「開店3周年!」エコツアーに参加してきました。高尾山を越え、相模湖に近い、いまは相模原市になっている旧藤野町のお祭りに行き、そこに出店しているトランジション藤野の方々にお話を聞く企画でした。

榎本さんの説明を受ける

 「トランジションタウン」とは、石油に依存した現在の大量消費型社会システムから、持続可能な生き方にトランジット(移行)しようという市民活動で、イギリスが発祥です。いま日本でも30ほどの地域で広まっていますが、ここ藤野は先駆的で、2008年に、いまの中心メンバーのひとり榎本さんが藤野に移住して始めたそうです。

   藤野のゆたかな森を生かす〈森部〉、里山の資源や自然エネルギーを活用したエネルギーの自立を目指す〈藤野電力〉、「円」を介在させない「通帳方式」で様々な地域の助け合いを支える仕組みを作る〈地域通貨よろづ屋〉、食の自給自足を目指す〈お百姓クラブ〉など、さまざまな活動があり、主に移住してきた若い世代の方々と、地元の住民とのつながりあった、豊かな自然と知識と経験と個性という人的資源の「活かしあい」に触れることができました。

   最初に「お百姓クラブ」の人たちの話を聞きました。在来の「綿の種」を紡ぐ機械「チャルカ」を初めて見ました! はじけた綿実をチャルカに通し、こより状に糸を巻きます。選って出てくる種は、日本中に広めるため、私たちにもおすそ分けされました。私は「チャルカ」感動! ガンジーの提唱したインド独立の思想の中で、この「チャルカ」がおおきな核であったと本で読んだことがありました。しかし実物を見たのは初めてでした。

これがチャルカです

  ガンジーといえば「非暴力・無抵抗主義」が知られていますが、物質的豊かさを基盤にした機械文明による「発展」は、人類を破滅に導く、そうではない道を選ぶことがインドの独立のために必要だと必死で説いたひとです。そして真の文明を創り出す経済的・思想的基盤として、チャルカ=手紡ぎ車を掲げていました。

  時代も場所も遠く隔たった藤野で、こんな思想の底流に触れて、そのあとの藤野電力、地域通貨「よろづ屋」の話がすっと頭に入ってきました。

   小さな「太陽光発電」装置でできた電気を使ってみることで、生活でいかに無駄な電気を使っているか振り返ることができるというお話や、「円」を使わない「地域通貨」の通帳を作り、地域の中で「お願いします」といえる関係を目指している話を聞きました。この通帳に増える「貯金」と「借金」は、相手がいないと成り立たない仕組みです。「借金」が増えることは、助けた人も増やしたということになり、「ひと助け」なのです。現在の私たちの「通貨」はいかに相手が見えないか…私たちの価値観が問われる活動でした。

藤野電力の太陽光パネル

 

   いまは地域の小さな点にしか過ぎない活動ですが、3・11後のいま、このような「社会的実験」ともいえる試みも広げなければ世の中変わらない、というより私たちがこの活動を広めていくことを模索しなくては!と考えさせられた企画でした。