年頭にあたり、昨年を振り返る(2)

  昨年は「憲法」改正が喫緊の課題になりました。この期に及んで、何と憲法の根本!に無知であったか…と思わせられたものです。「立憲主義」に自民党の改憲草案は背反しているという批判や、現憲法の理念から学ぶことになりました。

 ◆現憲法の理念とタテマエ

 8月には伊藤真さんの講演会、9月には元国立市長の上原公子さんの学習会を開きましたが、上原さんは、自民党改憲草案の実質上の執筆者である礒崎陽輔との過去の確執から、彼(=自民党)の本質を強調していました。彼らは現憲法の国民観が嫌いなわけでした。

 いまその実態が露わになっていますが、9月に見た福島菊次郎さんの映画「遺言」では、とうの昔から憲法はタテマエだったことがわかります。私は【迫る危機】【天皇の親衛隊】などの写真集を昔、勧められて読んで「これが現実か…」とショックでしたが、映画でも「真実を伝えるには嘘をついてもよい、大きな嘘をついているのはあちらである」と公言する福島さんの姿に圧倒されました。この「遺言」を今後継ぐことが可能でしょうか?

  改憲案のように、国民を守るのではなく、国のカタチを守る、まつろわない国民は排除するのだ、というあからさまな口上が次々に出てきて、たじろいだ年でした。彼らの言う「国のカタチ」とは?と、「ナショナリズム」について考えることができました。

 奇しくも秘密保護法強行採決の翌日となった太田昌国さんの講演(「現代の日本ナショナリズムはどこに基盤を置いているか」シビル市民講座)では、敗戦という出発点から「アジアに敗けた」という反省に真に立っていない政府や私たちの意識が、ついに来るところまで来てしまっている、そして今までにない危険な韓国や中国に対する煽動に若者がさらされているとい見解でした。7月の新聞記事に、太田さんが「目の前に山積している課題(貧困、労働問題など)を放置しながら、矛盾を糊塗するかのように外に「敵」を作り、ナショナリズムをあおる」安倍政権へ対抗する思想や運動のなさを分析したものがありましたが、この講座では、このような外部に敵を作る論法は「在特会」と共通であると指摘していました。

 ◆「明日はない」いま…

 それらの煽動にさらされている「在日」として生きてきた徐京植さんの話を10月に聞いたのですが(「アジアと向き合うことの意味」9条の会・こがねい公開講座)、「現憲法はアジア3000万人の犠牲の上に立った、2度と繰り返さないというアジアに対する日本の約束である」ことを繰り返され、このことを日本人が心に刻んできたか!という怒りの講演でした。麻生の「ナチスの手口に学んだらどうか」という発言でわかるように、今の憲法はワイマール憲法のように「戦後のほんのわずかの間」存在した過去のものとなってしまうかもしれないと…。その岐路に立っている、さあ日本人はどうしますか!という問いかけられました。

 参加者からの質問で、「ヘイトスピーチ」に対する感想を聞かれて、徐さんは「安倍政権そのものがヘイトスピーチである」と言っていました。

  11月の終わりに府中市の男女共同参画推進フォーラムで田原牧さん(東京新聞特別報道部)の話「【戦時下】は始まっている」を聞きましたが、みなに共通していたのは、【明日はない】という危機感です。秘密保護法は改憲であると。厳しいです!