行政の「開かれ度」を調査しました。
〜府中市の行政の意思決定に市民がアクセスするには壁が高い!〜
地方自治体は「立法権」と「行政権」によって統治されると憲法で規定されています。立法権は議会にあり、そこでの議事内容の「公開度」、「開かれ度」は私たち議会にいる者の問題ですが、今回は管理執行権などの行政権の部分について、どのくらい府中市が市民に「開かれ」ているかの調査をしてみました。具体的には、「市政の執行の意思決定を行なう会議」の議事録をどのように公開しているかについてです。
府中市は「府中市庁議等の設置及び運営に関する規程」(内容は府中市例規集でネット検索できます)の中で「庁議」「政策会議」「予算編成会議」などを「市政の執行の意思決定を行なう会議」と規定しています。なかでも「庁議」は市政の基本方針や、重要施策および重要事項に関する審議および決定を行なうと位置付けられていますから、その議事内容が市民にどのくらい公開されているかは、大事なことだと思います。
府中市では、「庁議」の議事録をホームページ(HP)での公開はしていません。情報公開請求を行わなければなりません。そうして出てきた書面は「庁議報告」という、議事の要旨をまとめたものでした。毎週行なわれている庁議を4月初回から直近まで請求しました(7月末まで)が、6月の会議までしか公開されませんでした。議事の中で報告者が出す資料を別にすれば、平均3ページくらいのペーパーでした。近隣自治体では、直近まで公開しているところは少ないものの、HPでの公開しているところは複数あります。しかし府中市は今のところ考えていないという担当者の見解です。公開された書面を読むと、ほとんどの報告は概要と『了承』のみでした。質疑があったのかどうかについては、「質疑のあった点について留意することとする」「指摘のあった内容に配慮することとする」と記されているだけで、質疑や指摘の内容は不明でした。HPで公開されているところでは、質疑の内容を箇条書きでまとめてあったりしています。
今回は東京都下の生活者ネットワークのある自治体での「開かれ度」調査の一環ですが、府中市はHPでのアクセスができず、情報公開請求をしなければならないとなると、市民にとってはなかなかハードルが高いと思いました。行政の意思決定の内容は、市民が知るべき情報ですが、ハードルが高いと、関心も薄まります。そもそも「庁議」というものの存在も知らない市民が多いのでは…。
行政権に対する議会のチェック機能や公開度も問題となっている中、いずれの機関も、まだまだ市民に公開できる余地がたくさんあります。
(こちらから、「開示請求書」をPDFでご覧いただけます。)